オフィス環境の「モバイル・ファースト」化を進めるべき理由

テレワークやBYODといった言葉が様々な現場で聞かれるようになってから数年が経ち、最近はワークライフバランスの重要性も広く認識されるようになりました。しかし多くの企業は、今も「パソコン中心」の考え方から脱却できず、ワークスタイルのモバイル化はなかなか進んでいません。

しかし、スマートフォンが世代を問わず普及し、クラウドサービスの利用が当たり前となった今、仕事やオフィス環境の改革も「モバイル・ファースト」で取り組んでいくことが求められています。

モバイル・ファーストで仕事のパフォーマンスは向上する
ワークスタイルのモバイル・ファーストを進めるべき最大の理由は、それが単純に仕事のパフォーマンス向上につながるからです。企業からモバイルワークを認められ、それを実践している従業員は、多くの場合、そうでない従業員に比べて高い生産性を発揮し、よりクリエイティブな仕事を成し遂げます。また、モバイルワークの導入は社員のモチベーションを向上させ、結果として社員の忠誠心も上がることになるのです。こうした事実は、多数の統計がすでに証明しています。

さらに、モバイル端末を業務で使えるようになれば、仕事に費やせる時間も増え、そのぶん多くのタスクをこなせます。そしてモバイルワークによる、このような様々な効果は、企業の業績アップにも直結していくでしょう。

コンシューマ市場で起きた革命が及ぼす影響
エンタープライズ市場では未だにパソコン中心主義の時代が続いていますが、すでにコンシューマ市場では革命が起き、別の時代が始まっています。

今では誰もがスマートフォンをメインの端末として使い、チャットやゲームなどのアプリ上で多くの時間を費やすようになりました。若者の間では、パソコンを1台も持っていないという人も決して珍しくはありません。たった数年で、パソコンは生活必需品ではなくなってしまったのです。

LINEやWeChat、KakaoTalkといったアジアを代表するチャットサービスたちは、最初からモバイルだけにフォーカスし、パソコンでの体験はほとんどと言っても良いほど考慮されませんでした。立ち上げ当時は奇妙にも見えたその徹底的なモバイル・ファースト戦略は、コンシューマ市場ではすでに当たり前のアプローチとなっています。

ビジネスマンの間で、こうした「モバイル・ファーストの世界」に生きているミレニアル世代の割合が増え続けている今、彼らが使い慣れているモバイル端末をビジネスの世界にも持ち込むことは、生産性を上げるためには非常に合理的かつ効果的な判断だと言えます。

日本企業は「真のモバイル・ファースト」に舵を切れるか
それでは、日本企業は、オフィス環境やワークスタイルのモバイル・ファースト化を推し進めていくことができるのでしょうか?

ある意味では、モバイル・ファースト化はすぐに加速するとも言えるし、別の意味では、まだモバイル・ファーストの実現には時間がかかるとも言えるでしょう。「一部の業務にモバイル端末を導入する」というレベルのモバイル化であれば、近いうちにその流れが加速し、たくさんの企業に広がることは間違いないように見えます。

しかし、「真のモバイル・ファースト」が作る未来は、いつでもどこでも、オフィスにいるのと同じように仕事ができ、オフィスワーカーとテレワーカーに差異がなくなるような未来です。これが実現するまでには、やはりかなりの時間がかかることになりそうです。

特に日本の会社員や経営者の間には、「実際に会って顔を合わせること」が何よりも大事だという共通認識があり、「会って話すのが一番」「会って話せばなんとかなる」といった信条を持つ人たちが多数を占めています。ですから、「真のモバイル・ファースト」に舵を切るためには、モバイルワークの有用性や合理性を認識し、「会わなくても仕事はできる」という意識改革から始める必要があるのかもしれません。

いずれにせよ、プライベートの世界では完全な「モバイル・ファースト」スタイルが一般的になった以上、ビジネスの世界でも「モバイル・ファースト」の考え方が不可欠になってくるのは、避けられないことでもあるのです。